【エッセイ】春の訪れはいづこ

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今年の春、私はすきなアイドルのコンサートに行く予定だった。

念をこめながらチケットを応募して、5月の北海道公演の席が用意された。飛行機とか泊まるホテルの手配とかがまったく分からなくて、大あわてしていたら、一緒にいくフレンドがすごいはやさで何もかもを決めてくれた。

おいしいものがたくさんあるから、コンサートおわりに北海道を楽しんで帰ろうと相談。旅のしおりづくりはまた今度ということで落ちついた2月。

 

 

でも

いつのまにか世界は思わぬ方向に進んでいた。

 

 

約束の場所はふわりと消えてなくなってしまった。

 

 

見慣れた自室でひとりパソコンに向き合う。四角い枠に切り取られた私の姿に最初は困惑したけれど今ではこんなもんかと受け入れている自分がいる。

そういえば今年は桜が咲くのも散るのも見ていない気がして窓の外を見た。恨めしいくらいの冬の青い空だ。

 

 

もし催花雨が降るのなら、次の春は花が咲くのを見せてはくれないか。