【読書感想文】こんばんは、カレーライス
私と重松清作品の出会いは、
小学校の国語の教科書に載っていた「カレーライス」だ。
どうやら六年生で習うみたい。
私は今年二十二歳になるので
ちょうどはじめての出会いから十年が経つのだなあ。
大学生になった私は図書館で懐かしいタイトルに再会する。
それが『カレーライス 教室で出会った重松清』。
お!と思って棚から取り出してそのまま借りてきた。
この本には、全部で九編収められている。
カレーライス
千代に八千代に
ドロップスは神さまの涙
あいつの年賀状
北風ぴゅう太
もうひとつのゲルマ
にゃんこの目
バスに乗って
卒業ホームラン
どのお話でも、家族や友達に対するもやもやを抱えていて、
そのもやもやのリアルさというか、
わかる気がする、こう感じていた気がする
と思わせてくれるような力があるなと感じた。
私のお気に入りは「カレーライス」と「バスに乗って」。
カレーライス は思い出補正がかなりある。
でも読み返してみると、細かい記憶違いはあるものの、
こういう話だった~!というなつかしさがあったな。
主人公の男の子は小学六年生だけど、
すでに中辛を食べ始めていることに驚きました。
私は辛いものがダメなので、
今現在も中辛はからい!!!と思って食べている。
甘口だからこども、辛口ならおとな。
なら中辛はちょっぴりおとな、なのかな?
別にどの辛さを選んでもいいけれど、
おとなになれば自然と辛口カレーが似合う人になると思っていたのに…
現実は厳しいものでした。
バスに乗って はまあバスに乗る話なんですが
(ネタバレに最大限配慮した結果)
そのひたむきな思いに、
おばちゃんはボロボロ泣いてしまった。
私はあんまりバス経験がなく、
いつもドキドキしながら乗っている。
乗ってから降りるまでの
ちゃんと降りますボタン押せるのか、スムーズに立ち上がれるのか、
運賃箱にミスなく小銭を入れられるか、運転手さんにありがとうが言えるのか、
などなど一連のミッションたちをきちんと達成できるのか、
いつも真剣勝負なことを思い出す。
どれもあったかいお話だったので
からだやこころが疲れたときに触れてしまうと、
そのやさしさや愛に包みこまれてしまうんだなあ。
ほんとうに危険。
読むタイミングや場所にはくれぐれもご注意ください。
ちなみに今夜はカレーライスでした。