三行日記

たったの三行ではおさまらないことを

【読書感想文】だれのこころを

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久しぶりに夏目漱石の『こころ』を読み返した。

 

であいは5年前の夏。

高校2年生の7月、現代文の先生が言った。

 

「2学期は『こころ』をやるので、夏休みに読んでおいてください」

「教科書ではなく全文を」

 

先生がわざわざ珍しいことを言うもんだなと思い、本屋さんで買った。

 

 

先生の言葉は 本気 だったと断言できる。

読書感想文なんて書かない年になったけれど、止まることなく読んだ。

三部構成になっている『こころ』の上、中をゆっくり読んで、

下は最後の一文を読むまで止まらなかったのだ。

 

最後まで読んで、アツくなっていたわたしだけど

2学期に『こころ』を読んできたのは数人だけだった。

 

全部読んでも100%わからないし、

ぐるぐる、ぐるぐる考えてしまうそんな作品なのに

一部しか触れないなんてもったいないと思った。

 

 

はじめて読んだあの頃の感想が

どこにも言葉で残っていないのがとても悔しい。

もし今あなたが高校1、2年生なら、授業で勉強する前に

一冊の本として向き合って欲しい。なんなら感想も書き記して欲しい。

 

『こころ』を再読しようと思ったきっかけは『坊っちゃん』だ。

(結局チケットが取れなくて行けない)舞台観劇の予習をするつもりの

坊っちゃん』を読みながら『こころ』のことを思い出していた。

 

高2の私は、先生とKとお嬢さんの三角関係が非常に気になった。

手紙で明かされる先生の嫉妬や孤独感はつかめそうだけれど

Kとお嬢さんの真意はわからないし、先生もわからないのだと思う。

 

 

改めて読み返しても、やっぱり真意はわからなかった。

 

でも少なくとも、Kは先生に対して

先生がKに感じていた気持ちに似たモノを

もっていたのではないかと思えるようになった。

 

 

それは私が大学生活のうちに気づいた、

「私が誰かをうらやむのと同じくらい、誰かも他人をうらやんでいる」

というものだ。

 

 

憧れや尊敬のようなキラキラした気持ちから

嫉妬・嫌悪・拒否といったドス黒い気持ちまで

やっぱり自分以外の他者への気持ちはあふれてしまう。

 

自分のなかにあらわれたたくさんの気持ちと向き合うことが大切だ。

その術を学校で学び取るのだろう、と思う。

 

 

大学4年になった私は、「先生と私」の関係にも注目したい。

死ぬまで秘密にするつもりの告白をなぜ先生は私に打ち明けるのか。

手紙では書き手の先生のことを寄り添い、批判することができた。

 

でも先生と私のよくわからない親しさは何なのか、

どう生まれたのか、先生からの私への気持ちや揺れはまったくわからない。

言動から推測するだけだ。

 

先生と私のこころのうちを

先生とKとお嬢さんのこころのうちを考えるとともに

わたしのこころについても考える、向き合うことができるはずだ。