【観劇】下鴨車窓「散乱マリン」

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先日、下鴨車窓さんの「散乱マリン」を観劇した。

 

芝生と壊れて積み重なった自転車があるだけの舞台なのに

海の底にいるような感じがした。

 

知らない人にこのことだけを伝えてもなにもわかってはもらえないだろうけど

ひとすじの青色のライトは、空の青じゃなくて海の青だったように思う。

 

劇場からの帰り道

ひとりでその日みた演劇のことをぐるぐる考えるのがすきだ。

誰かとみに行って「ここが印象に残った!」とか

「キャストのここの演技すごかった!」とか

話すのも楽しいけれど、ぐるぐる自分で考える時間もおもしろくて楽しい。

 

その日は海の青について、ぐるぐる考えていた。

もちろんタイトルに「マリン」と付くので

それはそうと言われればそこでおしまいなのだけれど

なにかもう一つあるような気がしていた。

 

 

ぐるぐる、ぐるぐる、考える。

ぐるぐる、考える。

 

 

私は開演前、もらったパンフレットたちに先に全部目を通すタイプの人間である。

なんとなく海の青だと思った理由が

脚本と演出を務めた田辺剛さんのあいさつの文章にあった。

 

 

私もあの日から

海の底に静かに眠っている名も知らない誰かのことを想像していたのだろう。

彼らは今日どんな夢をみるのだろうか、

昨日は?そして明日は? 

 

人だけじゃない。

忘れ去られていくモノも景色も思い出もたくさんあるのだ。

私が忘れてしまっていることに気づいていないだけ。

 

そうやってどこかに置いてきた何かが

いったいどれだけあるんだろうと考える。

考えても分からないものは分からないけど。

 

忘れちゃいけないはずなのに、

忘れたくても忘れられない人もいるはずなのに、

私がいつのまにか取りこぼしてしまっていた気持ちにまた会えた気がした。

 

 

すてきな公演でした。ありがとうございました。

 

 

P.S.

演劇をソーシャルディスタンスでみるのは初めてだったけど、

隣の人に気を付けなくていいのが楽だった。

カバンとか着てきたコート邪魔じゃないかなとか動いたらぶつからないかなとか、

そういう心配をしなくていいのがよかったな。

 

またいけるといいな。